9月の最初の連休に、「Tokyo Gendai」という
現代美術のアートフェアに行ってきました。
仕事柄、国際芸術祭は多く経験しているのですが
作品の売買が軸となるアートフェアの類は
意外と行ったことがなく、少しだけ新鮮な気持ちと
そして少しの緊張とともに会場に向かいました。
実は今回足を運んだのには理由があります。
かつて交友関係にあったアーティストの大作が3点
某ギャラリー(それはそれは有名なギャラリー)から
単独で出品されていたからです。
そのアーティストと出会ったのは、
私が札幌でthink gardenをはじめて間もない頃。
知人が主宰している札幌のオルタナティブスペースで
展覧会をやることになって訪れたのがきっかけです。
展覧会は彼ともう一人のアーティストの
二人展でしたが、多様化している
現代美術の表現手段の中から
若い彼らがあえて“平面”を選んで
真っ向から勝負していることに感動し、
さらに画力も卓越していたこともあって、
「彼らの作品はこれからもずっと追い続けよう」
とその時思いました。
そして、たまたま彼らの恩師が
think gardenとも縁のある
O JUN氏だったこともありますが、
何よりも波長が?ノリが?“合う”二人だったので
その後も交友関係を持つようになったのです。
会った回数こそ多くはないですが、
彼らと過ごした時間は自分にとって
年月を経ても風化しない貴重な思い出として
しっかりと心に刻まれました。
話を少し加えると、
実は札幌の展覧会に出展されていた作品を
私の友人が大層気に入って購入したのです。
彼女(私の友人)は当時駆け出しのキュレーターで
気に入った作品を私物化したいというより、
自分が良いと思ったアーティストに対しては
惜しみなく投資し、成長を応援したいという
気持ちがあったのでしょう。
決して安い買い物ではなかったはずですが
迷いなく買ってしまう彼女の気概が
実にカッコよかったな……
そんなこんなで、彼がその後もずっと
絵を描き続けていることは本当に嬉しいことで、
Tokyo Gendaiのような個展とも違うマーケットで
彼の最新作がどのような雰囲気をまとい
どのように佇んでいるのか
記憶をアップデートすべく
確かめに行ったわけでした。
ところで、彼だけではなく私の周りには
“続けている人”が本当に多いです。
絵を描き続けている
図面を描き続けている
写真を撮り続けている
演奏し続けている……
かつて表現者であっても
社会の変化やライフステージの変化、
自分自身の内面の変化などにより
表現から遠ざかってしまう人は
少なからずいることでしょう。
表現者であり続けることは
簡単なことではないはずですが
それでも続けている人は確実にいるのです。
「やりたいからやっている」という
シンプルな話ではなく、きっと
やらずにはいられない何かがあるのでしょう。
その何かこそが表現の真理なんでしょうね。
私は表現者ではなく伝える側なので
伝えたい人(と、その表現)があることが
何よりも幸せな状況です。
今自分が生きているこの世界に
伝えたい人がいる限り、
伝えるという仕事を本気でやっていこうと
あらためて心に決めた日でもありました。
